文脈から言葉の本当の意味をとらえられない人をみた

春から研究室に配属される理系新四年生のための心得 - 発声練習

より。

本記事の内容は、ああ、これは、来年入ってくる、うちの研究室の後輩達に知っておいてもらいたいことがしっかりまとまってるなあ、と関心するものだった。しかし、コメント欄があまりにも気持ち悪かったので思ったことを少し書く。

もめごと?

将来は研究者になりたいなら、先輩や指導教員の研究スタイルを盗むチャンスです。彼らはどういうやり方で研究をしているんでしょう。文献調査はどうやって行っているのか?研究テーマはどうやって選んでいるのか?機器の使い方は?どうやって時間管理をしているのか?どうやって、他の研究者とコミュニケーションをとっているのか?あなたは、とっても間近で研究者の実物を観察できるチャンスを得ています。活用してみては?

という記事の一文に反応した方が出現。
そのコメントがこちら

>将来は研究者になりたいなら、先輩や指導教員の研究スタイルを盗むチャンスです。

「盗む」ことは許されません。大学は大衆化されたと言われていても、アカデミックの場だからです。ましてや、「将来は研究者になりたいなら」と条件がついているならば、なおさら許されません。
言葉のあやで「スタイルをまねる」という意味で書いても、貴方が大学教員である以上、読者も大学教員であることを知っている人が多いでしょう。なおさら問題があります。

~(中略)~

この項目については完全に削除するか、根本的な訂正をお願いします。

と、本文の項目について完全に削除するか、根本的な訂正を要求している。

言葉の綾

彼/彼女にどんな事情があるかはさておき、冷静になるべきだ。
「盗む」という言葉は、

ぬすむ 【盗む/偸む】

(動マ五[四])

(1)他人の物をひそかに自分のものにする。とる。
「宝石を―・む」「現金だけ―・まれた」

(2)他人の技芸や作品、考えや行動などをひそかにまねる。わきから見て他人の技術などを習得する。
「師匠の芸を―・む」「人のアイディアを―・む」

エキサイト 翻訳

である。文脈から(2)の意味であるのは明白である。だが、言葉の綾*1だとしても許せないのだという。そこまで噛み付く必要があるのだろうか。大学教員が書くブログとはいえ、ここはアカデミックな場ではないのだから、こんなところまで来て言葉の揚げ足を取るような人間は正気ではない。なんとなく、昨今の民放テレビ各局の麻生批判に通じるところはあるのだが*2。もしも(彼/彼女)が訂正の必要があるのだと主張するのなら、実際に大学研究界の内情について記事として書くべきではないだろうか。

結局どうなる?

まあ一方でid:next49氏がブログを書く理由として

不定期にエントリーを書き続けて2,3年たちますが、自分の考えを文章で書くという行為にはおおむね慣れてきました。一方で、分かりやすい文章で書くということに関しては、ただ自分の考えを文章で書くという行為だけでは向上させることができないということもわかりました。分かりやすい文章を書くためには、自分の文章を指導してくれる他人の存在が必要不可欠です。

このブログ名について - 発声練習

と、文章を指摘されることを歓迎しているので、有益なコメントなのではあると思う。どのような対応をするのか楽しみでもある。

コメの人

まあ、とりあえず落ち着け。ってことで。文章を書いた本人が判断してしかるべき行動をとるでしょうから。削除絶対!みたいな要求は見苦しいし、いくらまっとうな主張をしても、第三者からみれば、頭のおかしい人と判断されて無益となってしまう。それはあなたの本意ではないでしょう?

*1:現代では、幾通りにも解釈できるような複雑な表現を指して言う。

*2:ということで、(彼/彼女)の主張は、研究界隈でもそういうことがあって身内が困ってるからやめてー><ってことなんだろうけどね